元々は樺細工を製造の問屋を父がやっていたのですが、私は6代目。
製造にあたりベースとして曲げわっぱの技術が必要でした。
樫木とかお盆とか、まあるいフォルムにする必要があったので、曲げわっぱも並行して作っていたんです。
当時、私の叔父は曲げわっぱの生地を作る方を担当していました。
ところが私の父と叔父さんは、同じ兄弟でもあまり仲がいいとは言えない関係性でした。
仕事をするにあたっても色々とグダグダするのを横で見ていて、「それなら自分が曲げわっぱを作れば、親子だから、もう少しうまくいくかなあ」と思ったのが、きっかけです。
当初は木工については全くの初心者。
ですから、まずは木工を学ぼうということで、汽車で1時間かかる学校まで3年間通って、木工を覚えました。
最初は親父の手伝いをしながらやっていたのですが、次第に時代のニーズに合わせて色々なものを作るようになりました。
最初に考えたのは、スタッキングができるもの。
作り方を先生とかにも聞いて、道具作りを教えていただきました。
そうしているうちに、円錐形にたどり着きました。
そうして出来上がったのが、蕎麦猪口や、くいのみや、ビアカップ、おわん、フルーツボウルなどなど。
並行してお弁当箱とか、お櫃なども一般の方々のニーズに応えて作っていこうと考え、次々にラインナップを加えていきました。
かつて、おひつを作ったので、取引のために、そごうとか高島屋とか大手小売店に出かけて行きましたが、当初は内側のすみが、直角なので、乾きが良くなくて黒くなっちゃったりするのというデメリットがありました。
それでは商品としては扱いにくくなると思い、一念発起して、すみまる加工というものを作ったのです。
なんと、それが大ヒット。
工芸品の店として、のれんをはれるようになったんです。
一番大変だったのは、ヒット作品を発表するまでの期間ですね。
どうやったら人気製品を作れるのか?とたどり着くまでに5年、10年という月日がかかりました。
最初は世間のニーズもわからなかったので売れるまでは、樺細工をやっていたので、それでなんとかしのげました。
しかし時代との変化とともに、曲げわっぱの需要が拡大してきた。
男は技術的に色々なものを作ろうと努力する人が多いのですが、実際にできた時に、それが使い心地がいいのかまではわかりません。
女性は、家事をしていますし、料理も作りますから、どんなものなら使いやすいのか、使いにくいのか、ということが手に取るようにわかるのです。
私の場合は女房など、身近な人の声から生まれた商品がほとんど。
誰かに必要とされるものがある時は、とにかくどんな努力をしてでも作ろうという姿勢で物作りをしています。
大ヒットのきっかけとして、円錐形で上に重ねられるような形を実現した際に、グッドデザイン賞を受賞して以来、多くの注目を浴びるようになり、オーダーや、メディア取材も増えました。
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日本という国は、もともと、かまどでご飯を炊いていた国。
電気やガスがない時代にはご飯を一旦おひつに移し替えて、台所から居間にご飯を運んで行って食べていたんです。
おひつに入れることにより、余分な湿気が取り除かれ、もちもち感も変わっていきます。
しかし今、時代は、利便性が先になり、電気でご飯を炊くようになりました。
そしてキッチンと居間がそれほど離れていない作りの家が増えたので、料理の湿気でご飯が湿っぽいんです。
ご飯の炊き上がりの時は水っぽいだけで美味しくありません。
そのままご飯を盛り付けるとご飯ばべちょべちょして潰れちゃうんです。
美味しく食べるには、炊いたご飯を「ハンギリ」という、たらいに移して、うちわであおいでしゃもじで切るんです。
すると、ご飯の表面に薄く膜ができていきます。
これを「しめる」と言います。
これで寿司を握るからいつ食べても美味しいんです。
本来それが日本のご飯の形でした。
炊き上がりは本当はベストな味ではありません。
でも、お櫃があれば、美味しいご飯に変わります。
白木のお櫃に移せば本来、2ー3日ご飯が持つのです。
曲げわっぱの弁当箱も同じ原理です。
中の水分が外に飛び出さないプラスチック製のお弁当箱はご飯がすぐに痛んでしまいます。
湿気で水滴化するので周りがべちょべちょになってしまうんです。
朝詰めたのに夕方には、すぐ腐敗が始まってしまいます。
つまり、食べ物は水分によって腐るスピードがより、早くなってしまうんです。
ところが曲げわっぱは余分な水分を木質が吸収してくれますから、雑菌が湧きにくくなるんです。
この時代、なんでもかんでも冷蔵庫に入れる人が多いですが、それはあまり、良くありません。
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食材も保存の仕方次第。
使う食器によって「毎日の食卓が、変わりました。」という声がとても多いんです。
子どもたちや家族も美味しいご飯を求め、健康管理する上で、食器というのは、とても大事。
食器を変え、ご飯が美味しくなると、食材にもこだわりたいと思うようになるはずです。
食器をいいものに変えれば、食べ物や、料理への意識も自然に、変わっていきます。
何より、木製のものは、衛生的。
私が作っているものは、「最終的な完成形」だとは思っていません。
時代は変わっていくものだし、要求するのはお客様です。
意見があって初めて商品というものができていくのです。
もし、何か提案があったら、ご意見は常に募集中です。
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