まず、いちばん大切なことから。
「気圧の変化で頭が痛くなる」という訴えは、長いあいだ「思い込みでは」と軽んじられてきました。けれど近年、それを裏づける研究が、きちんと積み上がってきています。
日本で行われたある研究(Okuma らによる報告、SpringerPlus 誌、2015年)では、片頭痛をもつ人たちの発症と気圧の関係を細かく調べました。すると、標準的な気圧から 6〜10ヘクトパスカルほど下がった範囲 が、もっとも頭痛を誘発しやすいことが示されたのです。
思い出してほしいのが、日本という国の特殊さです。
四季があり、梅雨があり、毎年いくつもの台風や低気圧が通り過ぎていく。
つまり私たちは、世界でも有数の「気圧が乱高下する場所」で暮らしているのです。
研究者たちが、日本で気圧と頭痛を調べているのには、理由があります。別の研究(Kimoto らによる報告、Internal Medicine 誌、2011年)でも、天気の変化が頭痛の引き金になった人が、対象者の およそ6割 にのぼりました。
そして、その多くが「気圧が下がったとき」を原因として挙げていたのです。
つまり、あなたが雨の前に感じる、あの重さは、何百人もの人を追いかけた研究のなかで、繰り返し確認されてきた、現実の現象なのです。
ではなぜ、たかが「空気の重さ」が変わるだけで、頭が痛くなるのでしょうか。
人によっては旅行中や、別の地域に移動した時に頭が痛くなる方もいると思います。過去の私もそうでした。
有力に考えられているのは、耳の奥です。
内耳には、気圧のわずかな変化を感じ取るセンサーのような仕組みがあり、空気の重さの変化を察知すると、自律神経のバランスが揺らぐ、という流れです。
自律神経は、私たちの意思とは関係なく、血管や心拍や緊張をコントロールしている、いわば体の「自動操縦システム」のようなもの。
そこが乱れることで、痛みを感じる神経が過敏になり、頭痛のスイッチが入りやすくなる、と説明されています。
