2時間車でドライブしても変わらない不自然なパームの景色。
バンブーカップを手がける前から、オーガニック系のストアで働いたりと、環境への関心は、かつてよりありました。
メディアサイト「エシカルギフト」でさまざまな商品をご紹介してきて、反響が良かったのがバンブーカップでした。
オラウータン柄のキュートなカップを作るまでに一体どのようなことがあったのでしょうか?
もともとエシカルな商品を紹介したいと思っていたのですが、その大きなきっかけがボルネオでのショッキングな経験でした。
ボルネオに行ったきっかけは、インターン。
院生の時、フィールドワークをしていました。
そこで愕然とするようなパーム油のプランテーションの実情を目の当たりにしました。
プランテーションに不自然にならぶ同一の樹木・・・。
人工的に、延々と植えられているのはパームだったのです。
それを植えているのは誰かというと、主には日本の商社でした。
日本だと、車でドライブをしていても少なくとも30分くらいで、山や畑など、情景がどんどん変わっていったり、景色が移り変わっていくのが普通。
しかし、ボルネオでは、一旦プランテーションの景色に入ってしまうと、2時間走ってもずっとパームの景色が続いていたりという異様な光景が広がっていました。
飛行機の着陸離陸の時も、窓から眺めると何も知らない素人ですらすぐにわかるほど、地平線の方まで同じ木が立っているんです。
ようやく歩いて探したオラウータンはガリガリにやせ細っていた。
かつては生物豊かな島だったのですが、まるで人工的な工場や畑のように島全体が扱われていることにショックを隠しきれませんでした。
現地では、オラウータンの追跡調査をしたんです。
でも、まずはオラウータン自体が全く見つからないんです。
ようやくたくさん歩いて探したオラウータンは、やせ細っていました。
それを見ると、なんだかすごく悲しくなったんです・・。
今やオラウータン自体が絶滅に瀕しているということもわかりました。
言葉が見つからないほどに、本当に衝撃的すぎて思わずその場で立ちすくんでしまいました。
そして日本に帰国した時、なんとかこの経験を伝えたい、発信しなければ、という衝動にかられました。
日本では、ありとあらゆるものにパーム油が使われているショッキングな実態
同時に日本に帰ってから思ったのは、コンビニ、スーパー、あらゆる小売店で、ボルネオで生産されている、あのパーム油がものすごい頻度で、使われているという現実でした。
裏面を見ると、菓子パンやお菓子をはじめとして、ありとあらゆるものに植物性油脂と、書いてあります。
これはだいたいパーム油のこと。
あれにもこれにもパーム油が使われているんです。
今や日本人はパーム油なしには生活できない状態に陥っていることがわかりました。
現地での悲惨な情景を知ってしまったがゆえに、今まで以上に「何を買ったらいいんだろう」となってしまいました。
まずは原料を見た上で、なるべく買わないようにするということからスタートしました。
ただ、周囲にこのことをわかっていただくには大変な苦労がありました。
というのも、一生懸命この実態について伝えるのですが、現地に行ったことがない人がその話を聞いても、「へえそうなんだ」という風にさらっと流されてしまうんです。
いくら伝えても多くの人は自分ごとにはならず、相手の考えや行動まで変えるというのは至難の業でした。
わかりやすくパーム油とオラウータンの絶滅危惧について伝える方法として「身近なアイテム」をチョイス。
そこで私はもっともわかりやすくメッセージを伝える方法として誰もが使うであろうコーヒーカップを選びました。
このカップには竹が使われており、通常のプラスチックに比べて環境に優しいのが特徴です。
親しみやすくエコでおしゃれなデザインにすることにより、多くの人に興味を持っていただける工夫をしました。
ただ伝えるだけでなく、このカップの売り上げの一部をオラウータンを守ることに使う寄付金に回していますので、買うことでオラウータンを守ることにつながるのです。
具体的には森を買うことができます。
たった二百円もあれば畳一畳分の森を購入することができるのです。
森が増えれば増えるほど、オラウータンが生活できる場所が増えて、少しでも彼らの命を救うことができます。
最後になりますが、パーム油はコスメや食べ物、洗剤など、あらゆるところに使われています。しかし、一部を除く大量生産型のパームオイルは、何かを犠牲にして作られています。
昔から日本にあるものには基本的にパーム油が使われていません。
日本人の皆さんが消費をするその裏で、動物たちが泣いていることを忘れないでください。
植物性油脂を控えたり、揚げ物やパンの原料を調べたり、さらに、安価な原価で作る外食はパームを使っているところが多いので、そういうものを選ばないようにしたり、個人の力でもできることはたくさんあります。
ぜひまずは、あなたの「できること」から始めませんか?
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