無添加・在来種味噌 紙容器入り500g×2個入り|これぞオーガニック!野菜ディップだけで最強に美味しい。30年以上無農薬の栽培で作る加治屋在来と常在菌が奏でる生きた旨味|手前麹熟成十一カ月が生み出す奇跡
通常配送料に550円(税込)が加算されます。
米味噌 紙容器入り 500g x2個
米(栃木県産)、大豆(栃木県産)、塩(伯方の塩)
「スーパーの味噌では、物足りない」と感じ始めたあなたへ
ひと口すすった瞬間に舌を刺す塩角、袋を開けても立ち上らない香り、熱湯を注いでも輪郭のぼやけたコク...。
大量生産・高速熟成・常温陳列が当たり前の時代、私たちの味覚は「これが味噌なんだ」と、教え込まれてきました。
市販品では、高ければ千円以上、安ければ数百円で買える製品が多いはずです。
でもほんとうはもっと甘くて、深くて、湯気の向こうに豊かな景色が見える食べ物だった.... 忘れていたことを思い出させてくれるのが、今回紹介する特別な在来種の味噌です。
手で潰す圧力が、大豆の繊維に余白を残す
作り手の川畑さんは4年前、ある味噌工場を退職しました。 機械仕込み中心の中堅メーカーに在籍しながら、彼は十数年かけて確信に至ります。
味噌は、常在菌と語らってこそ本物になる。
しかし、従業員を抱える企業が、月何十トンもの味噌をすべて手作りに切り替えることは現実的ではありませんでした。
そこで彼は家族を説得し、敷地の片隅に台所に毛が生えた程度の小さな工房を建てることにします。
初めて仕込んだのは、栃木県の鍛冶屋地区で30年以上もの間、無農薬栽培を続ける在来種「加治屋在来」の大豆です。
元々、西郷隆盛の弟がこの土地に移り住み、九州の地名を村に付けた歴史を持つという少し歴史を感じる、ロマンのある品種。
甘みが強く皮が薄いこの大豆を夜通しふかし、夜明けとともに素手で潰します。
冷え込む冬の土間で湯気とともに立ち上る豆の香ばしさを全身で浴びながら、彼は「味噌は発酵食品ではなく“生き物”なんだ」と腹の底で理解したといいます。
麹箱に三日、仕込みに一日、そして十か月の静寂
麹づくりは杉材の麹箱で三日三晩。
木が呼吸するたび微生物が増殖し、室温のわずかな変化を川畑さんの手のひらが探知します。
耳を澄ませば、夜中の2時に甘酒のようなやさしい香りが箱から漏れ、朝六時にはふわりと栗のような甘い蒸気が天井近くに漂います。
麹が「いまだ」と告げる瞬間を取り逃がさないため、彼は、一晩で何度も布団を抜け出すこともあるといいます。
7キロずつ、月3回しか仕込めません。
つまり月あたりの生産は、21キロのみ。
毎回、仕込みの時は、体力を酷使する重労働に耐えながらもあえて量を増やさないのは、潰した大豆の繊維を機械で断ち切りたくないから。
繊維が残ることで発酵がゆっくり進み、タンパク質分解の際に生じるアミノ酸が穏やかに甘みに転じるのだそう。
すべてを寸胴鍋に詰め、重量と同じ重石を載せ、蔵の片隅で10か月眠らせます。
5月、蔵の気温が25度を超えたころ、味噌は「見てくれ」と囁くそうです。
ふと、蓋を開けるとカラメル色の表面がぷくりと小さく息を吐き、麦芽糖に似た香りが鼻孔をくすぐります。
彼は木のシャモジで天地返しを行い、自然の常在菌をふたたび味噌に贈ります。
塩角が丸まり、糖とアミノ酸がメイラード反応で深いコクへと昇華していく瞬間です。
峠の釜めし釜がパッケージに選ばれた理由
ご紹介する味噌には、自宅用の紙パックと、贈答用にも相応しい、高級感の感じる木箱に詰められた釜に入ったもの、2種類があります。
完成した味噌を詰める器に、彼は「峠の釜めし」の土釜を選びました。
「ビジュアルが洗練されて贈り物としても、高級感を感じるから」という意味だけでなく、これには、もうひとつ実は深い意図が隠されています。
なんとこの釜自体もしばらくの間、ちょっとお得に、二次利用できるというのです。
(ただし何度か加熱すると壊れる可能性があります。)
具体的には、一合分の白米と水を入れ直火にかければ、薄く焦げを纏った美味しいツヤツヤしたご飯が十五分足らずで炊き上がります。
そしてそこへ、この味噌をちょんと載せて頬張れば、米の甘みと味噌の甘みが溶け合い、口の中で蒸気が跳ねるのです。
窯は木箱入りの贈答用に二つ、紙容器入りの普段使いに二つ。
木箱の釘は一本も使わず丁寧に組み上げられ、開封した瞬間に杉の清冽な香りが立ちのぼります。
紙容器もエコで、余計なゴミが増えず冷凍庫の隙間にすっと収まり、味噌の発酵をほぼ停止させてくれます。
「特別な日に触れる味噌」と「生活に寄り添う味噌」として、ぜひ、使い分けてください。
味噌汁という枠を超えた「生きた調味料」
普段から若干甘めの椀ものが好みなら味噌汁にも、もちろん使えます。
でもあえて、作り手の川畑さんはまず初心者には「ディップ」を薦めていました。
きゅうりやスティック人参にたっぷり付けると、野菜の青味が味噌の甘さでまろみ、噛むたび豆と糀の微細なつぶつぶが舌の上で弾けます。
夏の暑い日。
私自身も、彼のアドバイス通り、冷えたオーガニックのきゅうりを冷蔵庫から何気なく取り出し、この味噌をつけていただいてみました。
正確にはその日、体がだるくて、カットするのも面倒に感じたので、もはや野菜スティックじゃなくて、きゅうりの丸齧り。
珍しくワイルドなスタイルに思い切って挑戦してみました。
正直、暑くて若干食欲が落ちており、油っぽいものや重いものはどうしても受け付けられませんでした。
そんな自分が、不思議とこの味噌に吸い寄せられるようにきゅうりに手が伸びました。
思い切ってガブッとひと口かじると...野菜の青さを味噌のまろやかな甘さが包み込み、豆と糀の微細なつぶつぶが舌の上でプチプチとはじけます。
濃厚で深みのある絶妙な味噌の香りと、水々しい潤いのあるきゅうりの組み合わせに、あれよあれよという間に、冷蔵庫にあったきゅうり4本をひとりで完食してしまいました。
夢中で齧り付く自分の光景は、まるでジブリの『となりのトトロ』で、メイちゃんがきゅうりを丸齧りしているあの名シーンを彷彿とさせました。
食べた後はしばらく、放心状態。
「なんだ....これは...」というのが第一声でした。
気が付けば、ほてって食欲減退しつつあった心身はすっかり潤っていました。
生まれて初めて、丸齧りで一度に4本も食べてしまった自分にちょっとびっくりしたほどです。
でも、それくらい夢中になってしまう美味しさだったんです。
今まで「きゅうり」といえば、真っ先に思いつくのが、カットして、サラダに入れて手作りのドレッシングをかけるのが当たり前だと思っていましたが、これを知った瞬間、夏の間はもう、これだけで十分なんじゃないかと感じるほど。
むしろ、きゅうりの一番正しい食べ方って、もしかすると、これなんじゃないか?とさえ思える体験でした。
その直後、気づけば近場で大量にきゅうりを買いに走っていたことは言うまでもありません。
もちろん定番の味噌汁にしても、間違いなくいいと思います。
だけど、この味噌は“野菜を食べるきっかけになる調味料”として、むしろ主役を張れる存在だと感じました。
そして、次に試してほしいのが作り手も一押しする、味噌おにぎり。
おすすめは、炊きたての釜炊きご飯に薄く塗ること。
火であぶれば表面が照りと香ばしさを帯び、冷めても糀の甘みが抜けません。
シンプルですが、この味噌のよさが最大限引き出せる食べ方だといいます。
また別の使い方として、ステーキソース代わりに最後の一分で肉に絡めれば、赤味噌と照り焼きソースを合わせたような深いブラウンの艶が生まれます。
科学が追いつき始めた常在菌×在来種の力
味噌に関する複数の研究では、発酵過程で生まれる常在菌や発酵産物の働きから、大腸菌O157:H7などの病原菌が数時間以内に急速に不活化されることが報告されています。
また、在来種の大豆を使った味噌は、市販味噌と比べ、旨味成分の遊離アミノ酸の含有量が高い傾向にあるとされます。
つまり、手作りや在来種を用いた味噌には、「安全性」と「旨味濃度」の二つの観点からも、科学が徐々に価値を見出し始めていると言えるでしょう。
実は、作り手の川畑さん自身もかつて、思わぬ体験をしました。
実は、彼は肝臓に関わる疾患が過去にありましたが、独立後3年したら、気が付けばアッサリ完治していたといいます。
「味噌が原因とは言い切れない」と笑う彼の言葉の裏には、発酵食品の可能性への確信が見えました。
非効率こそ次世代への投資
日本の味噌市場は1987年頃をピークに半減しました。
高齢化、簡便志向、冷凍食品、食の多様性ブーム...理由はいくつもあります。
でも、同時に、腸内細菌叢の多様性は失われ、免疫トラブルやメンタルダウンも増えた混沌とした時代でもあります。
この味噌は年間600キロ程度、国内流通量でいえば、3/100以下です。
それでも「本物の味噌とは何か」を問い直すキッカケになりうるのではないでしょうか。
あなたの台所で物語を完結させてほしい 市販の大量生産の味噌と違い、この味噌は買って終わりではありません。
冷蔵庫に入れれば緩やかに熟成を続け、常温で陰に置けば色味も香りも一段と深くなっていくいわば、生きものです。
冷凍庫に入れれば10か月前の味が封じ込められ、思い出したころに蓋を開けると甘い蒸気が二度目の再会を告げることもあります。
味噌自体が時をまろやかにする時計のようで、あなたの日々のリズムも発酵食とともに、少しだけゆったりとした拍動に変わるはずです。
迎え入れる覚悟のある人へ
川畑さんは言います。
「機械より、常在菌を信じたいですね」。
手で潰した加治屋在来の甘み、麹が解き放つ芳香、11か月もの静寂が与えるコク、そして峠の釜めし窯で炊く一合の白米。
そこにはいわゆる今の時代にありふれた「便利を超えた、究極の本質」があります。
木箱を開けた瞬間、あるいは紙容器を開けた瞬間、甘い発酵の香りが鼻腔に滑り込み、頭の奥で小さく弾けるはずです。
そのとき、スーパーの棚で当たり前と思っていた味噌の姿はもう思い出せないはずです。
味噌は日用品として買うものではなく「迎え入れる」もの。
そんな新しい概念を感じさせる全く新しい調味料に出会えること自体、ある意味、今の時代ラッキーかもしれません。
さあ、あなたの台所の一角に”小さな発酵の宇宙”を置いてみてください。
最初のレビューを書いてみませんか?
米味噌 紙容器入り 500g x2個
米(栃木県産)、大豆(栃木県産)、塩(伯方の塩)

「スーパーの味噌では、物足りない」と感じ始めたあなたへ
ひと口すすった瞬間に舌を刺す塩角、袋を開けても立ち上らない香り、熱湯を注いでも輪郭のぼやけたコク...。
大量生産・高速熟成・常温陳列が当たり前の時代、私たちの味覚は「これが味噌なんだ」と、教え込まれてきました。
市販品では、高ければ千円以上、安ければ数百円で買える製品が多いはずです。
でもほんとうはもっと甘くて、深くて、湯気の向こうに豊かな景色が見える食べ物だった.... 忘れていたことを思い出させてくれるのが、今回紹介する特別な在来種の味噌です。
手で潰す圧力が、大豆の繊維に余白を残す
作り手の川畑さんは4年前、ある味噌工場を退職しました。 機械仕込み中心の中堅メーカーに在籍しながら、彼は十数年かけて確信に至ります。
味噌は、常在菌と語らってこそ本物になる。
しかし、従業員を抱える企業が、月何十トンもの味噌をすべて手作りに切り替えることは現実的ではありませんでした。
そこで彼は家族を説得し、敷地の片隅に台所に毛が生えた程度の小さな工房を建てることにします。
初めて仕込んだのは、栃木県の鍛冶屋地区で30年以上もの間、無農薬栽培を続ける在来種「加治屋在来」の大豆です。
元々、西郷隆盛の弟がこの土地に移り住み、九州の地名を村に付けた歴史を持つという少し歴史を感じる、ロマンのある品種。
甘みが強く皮が薄いこの大豆を夜通しふかし、夜明けとともに素手で潰します。
冷え込む冬の土間で湯気とともに立ち上る豆の香ばしさを全身で浴びながら、彼は「味噌は発酵食品ではなく“生き物”なんだ」と腹の底で理解したといいます。
麹箱に三日、仕込みに一日、そして十か月の静寂
麹づくりは杉材の麹箱で三日三晩。
木が呼吸するたび微生物が増殖し、室温のわずかな変化を川畑さんの手のひらが探知します。
耳を澄ませば、夜中の2時に甘酒のようなやさしい香りが箱から漏れ、朝六時にはふわりと栗のような甘い蒸気が天井近くに漂います。
麹が「いまだ」と告げる瞬間を取り逃がさないため、彼は、一晩で何度も布団を抜け出すこともあるといいます。
7キロずつ、月3回しか仕込めません。
つまり月あたりの生産は、21キロのみ。
毎回、仕込みの時は、体力を酷使する重労働に耐えながらもあえて量を増やさないのは、潰した大豆の繊維を機械で断ち切りたくないから。
繊維が残ることで発酵がゆっくり進み、タンパク質分解の際に生じるアミノ酸が穏やかに甘みに転じるのだそう。
すべてを寸胴鍋に詰め、重量と同じ重石を載せ、蔵の片隅で10か月眠らせます。
5月、蔵の気温が25度を超えたころ、味噌は「見てくれ」と囁くそうです。
ふと、蓋を開けるとカラメル色の表面がぷくりと小さく息を吐き、麦芽糖に似た香りが鼻孔をくすぐります。
彼は木のシャモジで天地返しを行い、自然の常在菌をふたたび味噌に贈ります。
塩角が丸まり、糖とアミノ酸がメイラード反応で深いコクへと昇華していく瞬間です。
峠の釜めし釜がパッケージに選ばれた理由
ご紹介する味噌には、自宅用の紙パックと、贈答用にも相応しい、高級感の感じる木箱に詰められた釜に入ったもの、2種類があります。
完成した味噌を詰める器に、彼は「峠の釜めし」の土釜を選びました。
「ビジュアルが洗練されて贈り物としても、高級感を感じるから」という意味だけでなく、これには、もうひとつ実は深い意図が隠されています。
なんとこの釜自体もしばらくの間、ちょっとお得に、二次利用できるというのです。
(ただし何度か加熱すると壊れる可能性があります。)
具体的には、一合分の白米と水を入れ直火にかければ、薄く焦げを纏った美味しいツヤツヤしたご飯が十五分足らずで炊き上がります。
そしてそこへ、この味噌をちょんと載せて頬張れば、米の甘みと味噌の甘みが溶け合い、口の中で蒸気が跳ねるのです。
窯は木箱入りの贈答用に二つ、紙容器入りの普段使いに二つ。
木箱の釘は一本も使わず丁寧に組み上げられ、開封した瞬間に杉の清冽な香りが立ちのぼります。
紙容器もエコで、余計なゴミが増えず冷凍庫の隙間にすっと収まり、味噌の発酵をほぼ停止させてくれます。
「特別な日に触れる味噌」と「生活に寄り添う味噌」として、ぜひ、使い分けてください。
味噌汁という枠を超えた「生きた調味料」
普段から若干甘めの椀ものが好みなら味噌汁にも、もちろん使えます。
でもあえて、作り手の川畑さんはまず初心者には「ディップ」を薦めていました。
きゅうりやスティック人参にたっぷり付けると、野菜の青味が味噌の甘さでまろみ、噛むたび豆と糀の微細なつぶつぶが舌の上で弾けます。
夏の暑い日。
私自身も、彼のアドバイス通り、冷えたオーガニックのきゅうりを冷蔵庫から何気なく取り出し、この味噌をつけていただいてみました。
正確にはその日、体がだるくて、カットするのも面倒に感じたので、もはや野菜スティックじゃなくて、きゅうりの丸齧り。
珍しくワイルドなスタイルに思い切って挑戦してみました。
正直、暑くて若干食欲が落ちており、油っぽいものや重いものはどうしても受け付けられませんでした。
そんな自分が、不思議とこの味噌に吸い寄せられるようにきゅうりに手が伸びました。
思い切ってガブッとひと口かじると...野菜の青さを味噌のまろやかな甘さが包み込み、豆と糀の微細なつぶつぶが舌の上でプチプチとはじけます。
濃厚で深みのある絶妙な味噌の香りと、水々しい潤いのあるきゅうりの組み合わせに、あれよあれよという間に、冷蔵庫にあったきゅうり4本をひとりで完食してしまいました。
夢中で齧り付く自分の光景は、まるでジブリの『となりのトトロ』で、メイちゃんがきゅうりを丸齧りしているあの名シーンを彷彿とさせました。
食べた後はしばらく、放心状態。
「なんだ....これは...」というのが第一声でした。
気が付けば、ほてって食欲減退しつつあった心身はすっかり潤っていました。
生まれて初めて、丸齧りで一度に4本も食べてしまった自分にちょっとびっくりしたほどです。
でも、それくらい夢中になってしまう美味しさだったんです。
今まで「きゅうり」といえば、真っ先に思いつくのが、カットして、サラダに入れて手作りのドレッシングをかけるのが当たり前だと思っていましたが、これを知った瞬間、夏の間はもう、これだけで十分なんじゃないかと感じるほど。
むしろ、きゅうりの一番正しい食べ方って、もしかすると、これなんじゃないか?とさえ思える体験でした。
その直後、気づけば近場で大量にきゅうりを買いに走っていたことは言うまでもありません。
もちろん定番の味噌汁にしても、間違いなくいいと思います。
だけど、この味噌は“野菜を食べるきっかけになる調味料”として、むしろ主役を張れる存在だと感じました。
そして、次に試してほしいのが作り手も一押しする、味噌おにぎり。
おすすめは、炊きたての釜炊きご飯に薄く塗ること。
火であぶれば表面が照りと香ばしさを帯び、冷めても糀の甘みが抜けません。
シンプルですが、この味噌のよさが最大限引き出せる食べ方だといいます。
また別の使い方として、ステーキソース代わりに最後の一分で肉に絡めれば、赤味噌と照り焼きソースを合わせたような深いブラウンの艶が生まれます。
科学が追いつき始めた常在菌×在来種の力
味噌に関する複数の研究では、発酵過程で生まれる常在菌や発酵産物の働きから、大腸菌O157:H7などの病原菌が数時間以内に急速に不活化されることが報告されています。
また、在来種の大豆を使った味噌は、市販味噌と比べ、旨味成分の遊離アミノ酸の含有量が高い傾向にあるとされます。
つまり、手作りや在来種を用いた味噌には、「安全性」と「旨味濃度」の二つの観点からも、科学が徐々に価値を見出し始めていると言えるでしょう。
実は、作り手の川畑さん自身もかつて、思わぬ体験をしました。
実は、彼は肝臓に関わる疾患が過去にありましたが、独立後3年したら、気が付けばアッサリ完治していたといいます。
「味噌が原因とは言い切れない」と笑う彼の言葉の裏には、発酵食品の可能性への確信が見えました。
非効率こそ次世代への投資
日本の味噌市場は1987年頃をピークに半減しました。
高齢化、簡便志向、冷凍食品、食の多様性ブーム...理由はいくつもあります。
でも、同時に、腸内細菌叢の多様性は失われ、免疫トラブルやメンタルダウンも増えた混沌とした時代でもあります。
この味噌は年間600キロ程度、国内流通量でいえば、3/100以下です。
それでも「本物の味噌とは何か」を問い直すキッカケになりうるのではないでしょうか。
あなたの台所で物語を完結させてほしい 市販の大量生産の味噌と違い、この味噌は買って終わりではありません。
冷蔵庫に入れれば緩やかに熟成を続け、常温で陰に置けば色味も香りも一段と深くなっていくいわば、生きものです。
冷凍庫に入れれば10か月前の味が封じ込められ、思い出したころに蓋を開けると甘い蒸気が二度目の再会を告げることもあります。
味噌自体が時をまろやかにする時計のようで、あなたの日々のリズムも発酵食とともに、少しだけゆったりとした拍動に変わるはずです。
迎え入れる覚悟のある人へ
川畑さんは言います。
「機械より、常在菌を信じたいですね」。
手で潰した加治屋在来の甘み、麹が解き放つ芳香、11か月もの静寂が与えるコク、そして峠の釜めし窯で炊く一合の白米。
そこにはいわゆる今の時代にありふれた「便利を超えた、究極の本質」があります。
木箱を開けた瞬間、あるいは紙容器を開けた瞬間、甘い発酵の香りが鼻腔に滑り込み、頭の奥で小さく弾けるはずです。
そのとき、スーパーの棚で当たり前と思っていた味噌の姿はもう思い出せないはずです。
味噌は日用品として買うものではなく「迎え入れる」もの。
そんな新しい概念を感じさせる全く新しい調味料に出会えること自体、ある意味、今の時代ラッキーかもしれません。
さあ、あなたの台所の一角に”小さな発酵の宇宙”を置いてみてください。

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