自然栽培を体験して「こんなに野菜って美味しいんだ!」と衝撃を受ける。
夫婦で、自然栽培の野菜を使用して居酒屋を始める前、私たちは、色々な飲食店で働いていました。
前職までの飲食店勤務時代は、こだわった食材を調達するということは一切なく、業務用で作られた大量生産品を大手業者から買って来て仕込む、ということをなんの疑いもなく続けてきました。
そんな中、たまたま野菜に残る硝酸態窒素の影響を記した本を読み、その危険性を目の当たりにし、
「生で食べる野菜が身体に悪影響を与えることがあるなんて・・・」それは、当たり前にして来たことが覆された初めての瞬間でした
10年前ほど前のことでしょうか。
有機農法、そして自然農法と、次々と聞いたことのない栽培方法を書いた本に出会いました。
それらに興味を持ち、当時の自然農法で農業をやっている農家さんを調べ、コンタクトを取り、1年間援農をするようになりました。
週に1回だけでしたので、出来ることが限られていた折、
「自分で始めた方が農業経験が積めるのではないか?」と考えたのが転機でした。
その後、初めて自分たちで手掛けた、肥料も農薬も使わない、固定種のタネで栽培した野菜を食し、こんなに美味しいんだ!と衝撃を受けました。
栽培・加工から居酒屋での食事提供まで、全てを手がけるように
当時、私たちがお店を始めるにあたり、日本はすでに飽和状態で、ありとあらゆるジャンルのお店がありました。
店舗を構えたとしたら、どういう方向性で行こうか・・・と考えていた時、ちょうど自然栽培の野菜に出会うことが出来て、それが今まで知っていたものとは比べものにならないほど、とてつもなく美味しかったので、美味しい野菜を使った居酒屋をやろうということに。
最初は野菜にこだわっているだけの居酒屋でしたが、調味料にも添加物が入っていることや、オープンして半年後に子供が授かったことも色々なことを考えるきっかけになり、
ワクチンや環境の問題などに直面していくうちに、次第にもっとこだわっていくようになりました。
食材から手作りで調味料を作ってみるようになったのもその頃だったと思います。
自然栽培農家さんや、固定種・在来種のタネ屋さんに出会い、背景を知ることになったのも変わるキッカケになりました。
今では「世の中に出回っている食べ物で、自分たちで作れないものはない」という考え方で、1度は自分たちで作って試してみることを怠らず、農業という第一次産業から加工、そして飲食店という形で成り立っています。
世の中のこと全てにまずは疑問を持ち、課題を見つけたらそれを解決するために行動をしています。
私たちはいつも疑問を持つようにしています。
いつも来ていただいているお客様との会話から生まれた疑問、生きる中で生じたあらゆる疑問・・。
世の中や、食のことに、疑問を持つことがあるか?と聞かれれば、むしろ疑問を持つことばかりです。
例えば、自然栽培野菜のことを知った後、スーパーに行ったらそういう野菜がどこを探しても見当たらず、衝撃を受けたことを覚えています。
なぜ美味しいのに売ってないのだろう?と思い、すごく不思議でした。
だからこそ、栽培しようと決めたんです。
ちなみに、多くの飲食店は、私たちのように自分たちで農業をして、そこで作ったものを提供して、というスタイルが理想的であることを知っていて、とても興味を持っているように感じることもありますが、結局、農家か、飲食店か・・という天秤にかけてしまい、なかなか実現しないのではないかと感じます。
私たちのように、飲食店もしつつ農家もかじるがゆえに、はじめてわかる現状があります。
両方を知っているからこそ、中間にある問題点を解決できるのではないかな?と思っています。
提供するだけ、栽培するだけではなくて、両方セットでなければしっくりこないよね、と。
これが、前提としてありますね。
飲食店についての課題を聞かれるとするなら、裏側を知っているからこそ、「全てが問題」だと私たちは考えます。
初歩的なことですが、お客さんに料理を提供するのなら、自分たちが使う食材の生産者さんに直接会いに行き、どういう栽培で作られているのかをきちんと調べて見極めた方が良いと思っています。
多くの飲食業はロスが出た時のことを考慮して、あらかじめメニューを構築したりすると思いますが、オーガニックだったり、ヴィーガンやマクロビなど・・、
さまざまな形でオーガニックを掲げて営業されている店舗でも、いわゆる「表向きだけの自然食」であって、結局大量にロスを出していたり、
プラスチック容器を使っていたり、本来全て同じ問題に繋がるはずなのに、他の問題には目を向けられていなかったりすることが多いと感じます。
もちろん利益は考えないワケには行かないのですが、正直、利益だけを優先し過ぎてしまうとできないことも多いんですよね。
私たちは、配送料を掛けない代わりに生産者さんのところに自分の足で取りに行き、お金では買えない野菜の成育状況や農家さんの現況などを聞いて来ます。
農家さんと密にコンタクトを取ることで、野菜を食べると、味の変化を感じ、農家さん元気ないかもしれない・・と気づいたり、お客さんに伝えられる野菜の背景が得られることもあるんです。
栽培方法だけでなく生産者の思いも大事です。
それを伝えることが出来るのが、私たち飲食店の出来ることだとも思っています。
私たちは疑問に思ったことを疑問で終わらせるのでなく、都度調べて、それを解決するための行動を起こすことにしています。
もちろん、続ける上で大変なことは、多々あります。
お店では、自分たちのところで取れる野菜のみならず、近隣農家さんが栽培された自然栽培の食材も使うのですが、端境期や収穫期がかぶったりしますので、季節によって使える野菜がなくなってしまうまたは同じものしか手に入らないということを経験した時はきつかったです。
収穫量も減りやすいので、いつでも安定的に幅広い野菜が提供できるわけではありません。
過去には、出せるものが少ないため、乾物を使ったり、色々な知恵を使ってメニューを構築していました。
農家さんと話すことで種まきをズラしたり、農家さんの作っていない作物の栽培に挑戦して来たお陰で、今は野菜もバランスよくたっぷり提供できるなど、工夫できるようになってきましたね。
自然栽培の和からしを作ることになった理由
和からしを作った理由は、ただただ美味しいトンカツを食べたかった、というのがキッカケです。
わたしはトンカツが好きで、美味しいトンカツ食べたさに、パン粉は古代小麦でパンを作ってそれをパン粉に、
卵も養鶏をしている友人から安心できるものを取り寄せて、肉も限りなく抗生物質などを使用しない業者さんから取り寄せました。
ウスターソースはトマトのタネ取りから栽培・加工まで行った自然栽培の手作りで・・・という具合に、とことん全ての食材にこだわったんですが、最後の最後まで揃えて手に入らなかったのが、良い「からし」だったんです。
純国産でオーガニックのからしは日本のどこにも存在しなかった
市販では、オーガニックのからしがごく一部あるようでしたが、国内で栽培されたものはないに等しい状態でした。
それをきっかけに、和からしについて調べれば調べるほど、危機的状況なのではないか?と強く感じました。
表示に国産と書かれているのに、製粉のみ国内でやっているだけで国産というラベルになっているものもありましたね。
純国産でオーガニックのものってないのかな?と思い色々調べましたが、結局存在しなかったんです。
農水省に問い合わせてみても、そのようなデータはないという話をされました。
カナダ産と国産が50パーセントずつとか、国産30パーセントとカナダ産を混ぜているものなどは見つかりましたが、純国産はもう入手不可能なのか・・という衝撃的な現状を目の当たりにし、なんだかすごく残念な気持ちになったんです。
和からしはもともと、日本の食文化に深く関わっています。
何に使っているのかを意識こそしていないものの、よくよく考えると、おでん、とんかつ、餃子、納豆などなど・・日常的にそして当たり前に使われていることに気付きます。
もしも海外からの輸入がストップしてしまったら?
歴史ある和からしが、子供たちの未来にはもうないかもしれない。
そういうのがあったらしいよ、と過去の産物になり得る可能性があるとしたら…そう考え、この和からしを絶やしたくない!と思ったんです。
最初は和からしの生産者がいないのでどういう風に作ればいいのか?というデータがなく、情報不足でかなり苦戦しました。
収穫期もわからず、失敗もたくさんしました。
和からしは収穫期の判断が難しいんです。
栽培を始めた当初はやり方がわからずタネが全て土に落ちてしまって、収穫ゼロになったことも。
とにかく前例のないことに四苦八苦しつつ、毎年トライアンドエラーを繰り返し、ようやく段取りがわかってきたんです。
私たちの栽培している和からしはとても濃く綺麗な黄色なのですが、その色の理由は、黄色いタネだけを選別するという手間をかけた証。
手間がかかる、和からし。その割にはコンビニおでんには無料でついてくるほど、その価値が蔑ろにされてきた。
現在和からしの栽培を続ける人がいない1番の理由は、すごく手間がかかるからではないでしょうか。
わたしが調べた限りでは、和からし栽培は、昭和30年代ぐらいまで実際に存在していました。
ところが、高度経済成長期で効率化が優先され、和からし作りは、割りに合わないということで、輸入に頼るようになったのが今日の和からし事情を招いた理由だと考えています。
じつは、和からしの成分はわさびと同じ成分なんです。
巷では、結構わさびにはこだわる人は多いですよね。お寿司をはじめ刺身やステーキなど。
けれど、正直わさびにはそこまで幅広い用途はありません。
その点、和からしはありとあらゆる場面で幅広く使えます。それなのになぜこだわることなく、チューブに頼り、国産オーガニックが広まらないんだろう?と考えました。
高頻度で当たり前に使われているものだからこそ「安くて便利なものがいい」という考えに至っているのではないか・・と思いました。
コンビニおでんにも、そして納豆にも当たり前に付いてくることで目も向けられない無価値にものになってしまったに等しい。
だからこそ、誰もが無意識で気にも留めないものへと変化してしまったんだと思います。
自然栽培で国産の和からしは私たちが栽培している以外に存在していないことがわかっています。
IN YOU Marketユーザーの皆さんにお伝えしたいこと
大事なことは、「スーパーで、売っているものなら、安心!」という安易な考えに走るのではなく、自分で掘り下げて、どう問題を解決するのか?ということを一人一人がもっと考えてみたらどうかな?と思います。
わからないことをわからないままで終わらせてしまうのではなく、都度、調べる、これが重要です。
よく「オーガニックは高い!!」と言っている人がいますが、それってじつは、オーガニックを取り入れていない人が、買って続けたこともないのに、表面的な価格だけで判断して言っているだけだと思うんですよね。
けれど、実際に使っている人たちというのは、高い安いだけで判断するのではなく、将来、健康でいるためになど未来の自分への投資として取り入れている人も多いと思います。
オーガニックには、値段以上の価値が含まれていると思うんです。
今使っているもの、選んでいるものが、本当に自分に必要なものなのか、そして自分の心身に合うものなのかという自問自答を続けることで、これからの未来、そして、これからの時代を生きていく子どもたちの未来にも繋がるはず。
ぜひこの自然栽培の純国産和からしを食べてみてくださいね。
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