もともと私は自然栽培専門店で販売側の仕事をしていました。
その後自然栽培農業をやる際に、声がかかり、話題になった、石川県羽咋市の学校に自然栽培の給食を導入したという経緯があります。
これまでの経験で自然栽培の現状を見ていて、商品の質や栽培方法自体がとても良いものだということは分かったのですが、同時に絶対量が圧倒的に少ないことも、分かりました。
ですからせっかく販売を行いたくても、多くのお客様に広められないというジレンマがありました。
羽咋市の学校給食でも痛感したのですが、何か変えたいと思ったら、「量」がないとダメなんです。
そして、いくらいいことをやっていても、金銭的な問題で生産を続けていけなくなってしまう人を多数見てきた中で、農業者と販売者の距離を近づけたいという思いが常にありました。
自分はどうしたら、農家さん達のちからになれるのか?
自問自答した時に、販売しているだけでは本当の問題はわからないと思ったんです。
何事も自分でやってみないと始まらないと感じ、自然栽培で農業をやってみることにしました。
僕は、一緒に組む人たちについても吟味しています。
エンドユーザーにお届けするにあたり、商売という視点で信頼ができて、かつ、お仕事を共にする上で、柔軟に迅速に対応できる人というのは、意外と少ないんです。
僕自身としては、プロとしても対応ができて、栽培もできるレベルの高い人たちとやっていきたいという考えがありますので、本当に信頼ができる人とだけ、共に歩んでまいりました。
自然栽培農業をやって思ったこととしては、まず、天候に左右されやすいということ。
自然栽培では、やらなければいけないことはだいたい決まっていて「これだけ手をかけないといけない」という時期が決まっています。
それからプラスの点としては、長持ちすること。
根菜は特に長持ちしますし、ぶどうを作っている農家も知っているのですが、3ヶ月とか冷蔵庫に入れておいても保存状態が良ければ全然傷まなかったりもします。
販売を専門でやっていた時は農家の話が半分くらいわからないこともありましたが、今では野菜の特徴についてもよく理解し、だいたい全てわかるようになりました。
自然栽培農家さんは、全然儲かっていないし食べれてもいない。値付けが間違っていて格安金額で売られてしまっている。
自然栽培を実際にやってみて、一番驚いたのは、販売価格のこと。
僕も当時は販売する側の立場だったので、農家さんから言われた値段で、売っていたんです。
でも本当のところを知ると、実は農家さん達は、かなり安い値付けをしてしまっていたことが分かったんです。
どれくらい低いかというと、その値段で売っていても、自分たちの家族すら、ろくに食べさせられないくらいのレベルです。
家族や子供がいるのに、年収で200万円にすら届かないという人が大勢いるんです。
大の大人が10万円未満とかで全ての生活を賄わないといけないというのは、流石にきつい。
けれども農家さんの多くは、「売るための力がない」ということで、販売することを諦めてしまいます。
けれど、それではいつまでたってもうまくいきません。
家族や子どもすら守れない過酷な経済状況に身を置くのではなく、作る人もハッピーでなければいけない。
けれど、農薬を使わず自然の力で安全に作られたものにはやはりそれなりの価値がありますし、本物か偽物かという差は、並べば明らかです。
自分たちがちゃんと食べていける値段なのかということも、今一度作り手たちは考えなければなりません。
悲惨な現実を見てきた僕としては、最初から利益を全く得られない値段設定にしてしまい、子供や家族さえ守れない過酷な状況に身を置くのではなく、ちゃんとした値段設定で売って、農家もちゃんと利益を得て、儲かってきた段階で少しずつ値段を下げればいいのではないか?と、思ったんです。
安い野菜を見て喜ぶのではなく、手間がかかっているのに最終的な手取りは全く残っていないという現実を、消費者も知るべき。
今、全体的に食べ物や物の価値が下がりすぎている現状にあります。
安い野菜を見て喜んで買うのではなく、散々手間がかかっているのに、最終的な手取りは全く残っていないという現実を、買う人たちも知るべきなんです。
でも、お金の価値に変えられないくらいのものも、たくさんあります。
しかし消費者が安物にばかり走る理由は、まずこうした現実を知らないこと、情報がなさすぎることが原因だと思いました。
IN YOU Marketのようにしっかりと思いや背景、こだわりを伝えれば、価格が多少高くたって、納得する人も出てくると思うんです。
価値を正しく伝えることが、大事だと考えています。
「誰の子」という問題ではなく行き着く先はみんな同じ。未来に生まれてくる子達のことも考え、自然栽培に取り組みたい。
僕が自然栽培をやろうと思ったのは、その良さをすでに分かっていたのもあります。
でも、それ以上に、これだけ環境破壊も進んでいる現代において、何より地球環境・自然をいかに残していくかということを追求した時、「もう最後は自然栽培しかないのではないか」という風に思ったためです。
人間、誰の子ということではなく、行き着く先は結局、一緒。
住む場所も皆、同じ、地球です。
目先のことや、自分の子のことだけ考えていればいいのではなく、未来に生まれてくる子どもたちは、みんな自分の子どもたちと同じくらい大事なのではないでしょうか?
だからこそ、今こそ物の価値を改めて考えて直して欲しいんです。
どんなものに価値を感じ、どんなものを消費するのか。
ぜひ自然栽培の商品、使ってみてください。
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