自分たちの暮らしは自分たちで紡ぎたい。 全ては種から始まっていることを思い出してほしい。 そんな思いから生まれた、小さな和綿のアクセサリー | IN YOU Market|厳選オーガニックショップ-食品・コスメ・サプリ


自分たちの暮らしは自分たちで紡ぎたい。 全ては種から始まっていることを思い出してほしい。 そんな思いから生まれた、小さな和綿のアクセサリー

2019/10/17

「広島県の中山間地にある、兼業農家で生まれ育ちました。
親からは『農業は大変だからやめておけ』とずっと言われていました。
私自身も、『こんな田舎を出て都会へ行きたい!』って思っていて、気持ちはずっと外へ向いていたんです。」

そう語るのは、広島県三次市の里山の休耕田で和綿を種から育て、
紡いだ糸を使ってオーガニック・和綿アクセサリーを作っている徳岡さんです。

子育ての傍ら作っておられる、優しい色合いのピアスやイヤリング、ペンダント。
その小さくて素朴なアクセサリーからは想像できない行動力とたくましさをお持ちの女性でした。

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途上国の問題は先進国のあり方に直結している


「あるとき、ご縁があってバングラデシュに学校建設のボランティアに行ったのですが、

そこで目にしたのはこれまで出会ったことのない、とても大勢の物乞いの人たちでした。

圧倒的な貧困を目の当たりにして、大変な衝撃を受けました。

日本で暮らしていた自分が経験したこともない全くの別世界だったんです。

その後、社会問題に興味を持ち、NGOで働きたいと思うようになりました。

「世の中を変えるには買い物から!」とスーパーマーケットで働いたこともあります。

エクアドルの熱帯雨林にボランティアにいった流れで、

「本場のおいしいコロンビアコーヒーを飲みたいな」という動機で

コロンビアへ足を伸ばしたときのことです。

なんと乗っていたバスがゲリラにバスジャックされたんです。」

「幸い命は無事でしたが、そのときのゲリラの多くは、ティーンネイジャーだった。

周りの人によると、ドラッグ目当てのゲリラだったのです。

その後、美味しいコーヒーを求めてたどり着いたコロンビアのコーヒー農場で、

「美味しいコーヒーはヨーロッパやアメリカ、あなたの住む日本に輸出してるんだよ。ここにはないよ。」

と一蹴されました。

そのときに分かったのです。

発展途上国の貧困問題は、遠い海の向こうの問題ではなくて、私たちの暮らしに直結しているんだ!」

その後徳岡さんは、森林バイオマスなど「循環」をキーワードに
森林バイオマスのNPOを立ち上げ、「地域の資源を地域で循環させるまちづくり」の活動を始めたそうです。

それがゆくゆくは途上国の問題にも繋がっていくのだという思いで・・・。
そのころ、勃発したイラク戦争

エネルギーを海外に頼ってしまったことが生んだ悲劇。
「もっともっと」と得ようとすることが生んだ悲劇なのではないか。
徳岡さんの中で、

「身の回りの資源を自分たちで活用していく。」

という思いは確かなものになっていきました。

自分たちで自給できる暮らしをやろう


「バングラデシュに何度も通う中で、

『相手は貧しいから私たちが何かしてあげる』、ではなく、

『バングラデシュから学ぶことは何か?』と考えるようになりました。

バングラデシュでは物をとても大切にしているんです。

一枚の紙に書いては消して簡単には捨てません。

鳥をさばいていただくときも、すべて無駄なくいただきます。」

「一言でいうなら、生活が「見える」。

エネルギーがわかりやすくその場で循環しているということ。

物を一方的に消費することが多く、

肉や魚などもすでに誰かによってさばかれたものを買ってきて食べる、

そんなことが当たり前の今の日本ではもはや見ることができない循環です。

東京で暮らしていたことがありますが、

何をするにも全てにお金がかかりました。もう、すべて、です。」

それは自分の生活に関わることを誰かにやってもらって、その対価を支払う社会のあり方です。
そして起こった東日本大震災、福島の原発事故。

子どもを放射能から守るため、すぐに東京から地元広島へ避難した徳岡さんですが、
東京に残った大切な人たちのことを思い、広島で原発を止めるための運動を始めました。

「デモや署名集め、
国会議員と面会したり市議会に請願書を提出したり、私ができることはすべてやりました。」

と言い切る徳岡さん。

「だけど、原発は止まらない。」

そんな無力感を感じつつ決意をします。

「原発に頼らない、自分たちで自給できる暮らしをやろう。」

必要なものは全てここにある。自立した暮らしを目指して始めた休耕田での和綿作り


「地元広島に戻ってきて、改めて気づいたことがありました。

「生きていくのに必要なもの全てがここにあるんです。

山がある、水がある、畑も田んぼもある。

だけど、高齢化や後継者不足によって耕作放棄地や休耕田が増え、

人と人との繋がりも薄くなって、

昔の里山の景色が失われつつあることも知りました。」

以前に出会った一冊の本、「ガンジー自立の思想」をきっかけに知ることになった
日本の固定種「和綿」。
それにヒントを得て、徳岡さんは動き出します。

「ガンジーは、非暴力非服従で有名ですが、

糸を自ら紡いで服を織り身にまとっていた方なんです。

自分たちの手で自分たちの暮らしを支えるという意味もあり、

糸車は「自立」のシンボルです。

衣、食、住のうち、衣の背景について知ることってあまりないなと気づき、

休耕田で綿の栽培を始めることにしました。」

こうして始まった、休耕田での「無農薬和綿」作り。
徳岡さんは、地域の人たちも巻き込み、綿を栽培するようになっていきます。

綿を育てて糸を紡ぐワークショップを開催したりして、
日本の綿の自給率がゼロであること、
遺伝子組み替え綿などの種の問題などを知ってもらい、
考えてもらうきっかけになったらと動き続けます。

「それで考え始めたのです。

育てた綿で何を作ろうか?と。

服を作るには、ワタがものすごく必要なので、生産量が足りない・・・それはできない。

でもアクセサリーなら、綿は少なくてもできるし、

ずっと大事にしてもらえるんじゃないかと。」

全て手作りの和綿アクセサリーから伝えたいメッセージ


かわいらしい「しろつめくさ」をモチーフにした、アクセサリーがあります。
「糸を紡いで、編んで、中に綿の種が3粒入っているんですよ。
外からは見えませんけどね。
食も、衣も、種から始まっているんだっていうことを忘れずにいてほしくて。」

アクセサリーを作っているのは、
徳岡さんと地域のお母さん数人のユニット。

「私は種を育てる担当です。

他にもそれぞれが自分が得意なことを活かして、

染めたり、糸を紡いだり、袋を縫ったりと分担しているんですよ。

地域の職人さんに土地の木で木箱を作っていただいたり、

地域の資源は、ものだけではなくて、人も資源だと思うんです。

デザインや写真も、地域で活躍されているヨーロッパでデザインを学ばれたデザイナーさんや、

地元で子育て中の若いお母さんフォトグラファーさんにお願いしています。

地域のみなさんの力を借りて私たちのアクセサリーは生まれています。」

休耕田で育てた和綿を、
地域にある自然素材で染め、
地域の人々によって形にしていく

まさに土地のものを活かすエネルギーの循環ができあがりました。

「たねのわのアクセサリーは、その季節の草木で糸を染めてつくるため、

「春」に染めたものは夏から秋にかけての発表になってしまう、

とてもスロウなアクセサリーです。

自然にも人にも無理をかけず、命の繋がりを大切にアクセサリー作りを続けていきたいと思っています。」

アクセサリーから
里山の四季、鳥や動物たちなど生産地の景色を感じてもらいたいと語る徳岡さん。

シンプルで素朴な小さいアクセサリーたちは、
優しい里山の風景を想像させてくれるだけではなく、
自分たちの暮らしは自分たちで作っていこうという大きなメッセージを受け取ることができます。
自分らしく自然に寄り添った暮らしを、日々の装いから始めてみませんか。

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